正月が終わって、カレンダーが動き出すと同時に、現場も一気に動き出す。年が明けて最初の仕事。この初仕事ってやつは、毎年ちょっと特別だ。
体は正月モードのままなのに、仕事は容赦なくフルスロットル。まだ薄暗い時間にエンジンをかけ、長距離運転で出張現場へ向かう。
フロントガラス越しの冬の景色を見ながら、「今年もまた始まるな」とハンドルを握る手に自然と力が入る。
現場で向き合うのは、いつも鉄と精度
今回の現場は嵌合式立平葺き。見た目はシャープでかっこいいけど、そのぶん誤魔化しが一切きかない屋根材だ。
ミリ単位でズレれば、ラインは一気に汚くなる。だからこそ、現場成形の腕が問われる。
工場での加工と違い、現場では建物のクセ下地の微妙な歪み、すべてを読みながら鉄を曲げていく。
「ここで逃げるか、ここで攻めるか」職人の判断力がそのまま仕上がりになる材料だ。
長距離運転より、しんどいのは気の抜け。
正直に言えば、長距離運転は体にくる。腰も首もガチガチになる。
でも、それ以上にしんどいのは、正月気分が抜けきらない気の緩みだ。
初仕事で一番怖いのは、ケガでも失敗でもなく「まあいいか」という一瞬の油断。
嵌合式立平葺きのようなシビアな仕事ほど、その「まあいいか」が、あとで一番高くつく。
いい一年は、いい初仕事から
年が明けての初仕事。長距離運転の疲れも、現場成形の緊張感も、全部ひっくるめて今年のスタートだ。
また一年、鉄と向き合い、現場と向き合い、自分の腕と向き合っていく。
いい仕事は、こういう地味な一日の積み重ねでできていく。